9月12-13日(月・火)
次女に成田まで送ってもらって、夜10時発つ。キャリアはトルコ航空。すべての座席のポケットに、通常の機内誌と同じぐらい分厚いクーデターの詳細をレポートしたパンフレットがあったのには驚いた。エルドアン大統領としては、いかに滞りなくクーデタを鎮圧したかをすべての外国人にアピールしたかったのだろう。イスタンブールに深夜到着。ヴェネチア行きのトランスファーでは、ゲイトが突然何のアナウンスもなく変わり、ほとんど端から端までという感じで20分も歩かなくてはならなくて驚いた。
13日朝9時頃VMP(ヴェネチア・マルコポーロ空港)に到着。本島に渡る乗り合い船Alilagunaの船着き場がわかりにくく、船も全然よくなかった。席に座ってしまうと何も見えないし、窓は汚れていてやっと開けられるところから辛うじて外を見られる感じで、爽快感もなく前回のヴェネチア入りの感動はなかった。
今回のベネチアの宿Ca’dei Poloにはすぐチェックインできてシャワーを浴びたりできたのはよかった。11時頃出発。ローマ広場でヴァポレットのバウチャーをチケットに交換しようとしたがうまくいかない。窓口に行ったらすぐ変えてくれた。2番の船でサンマルコ広場へ。サンマルコ寺院とドゥカーレ宮殿を見てから広場のカフェでビールを飲んだ。戻ってホテルお勧めの近所のレストラン、La Rosa dei Venutiで食事。ムール貝とあさりのオリーブオイル煮、ミックスサラダ、ズッキーニのグリル、魚介のフリット、そしてもちろんプロセッコで80Eぐらい。それにプラスでカラフェでカベルネソーヴィニヨン。おいしくてお腹いっぱいでばバタンキューだった。
9月14日(水)
朝7時頃近所を散歩。ローマ広場からガラスの橋を渡って鉄道駅Ferroviaを見て、反対側の橋を渡って帰ってきた。朝食はテラスで。Continental だがパンとヨーグルトとフルーツがたくさんでおいしかった。
10時頃観光に出発。ヴァポレットはリアルト橋で降りてみたが工事中で橋の上には何もなく、戻ってまたサンマルコ広場へ。ドゥカーレ宮殿と同じく予約券を買ってあったコッレール博物館 Museo Correrに行った。考古学博物館もマルチャーナ図書館もなんだか全部一緒くたになっていてよくわからなかった。高い飲み物覚悟でCafe Florianでお茶する。広場の端から遠目ながらサン・ジョルジョ・マッジョーレSan Giorgio Maggioreの美しい姿が見られた。それからジュデッカ島に渡って、これもパッラーディオ設計のイル・レデントーレ教会Il Redentoreを見学。ビザンチンの影響を受けたサンマルコなどとはまた違う清潔な美しさで感動した。
ホテルに戻って、夕食はホテルお勧めのAl Bacco Felice で。カプレーゼCaprese とメカジキSwordfishのサラダ、それにアンコウAnglerfishのグリル。Swordfish は酢漬けで酸っぱくて食べにくかったが、anglerfishはたいへん美味。
9月15日(木)
パラーディオ設計のVillaを見るツアー。これは日本から予約していったものである。9時にローマ広場に集合で、ガイドの白浜さんに出会う。本土terrafermaにはヴェネツィア貴族の屋敷が並んでいて世界遺産に指定されているという。今回見学のVilla Emo とVilla Barbaroもそのうちに数えられるのだろう。
どちらのVillaもヴェネチア本土の屋敷のような壮麗さはなくて、ヴェネチア貴族はまた農場主でもあったことがしのばれる素朴な造りである。壁のフレスコ画も、ギリシャ・ローマ神話や聖書に題材をとったものが多い反面、狩猟や家庭生活など当時の生活をしのばせるものも多く、なかには騙し絵風に犬がドアから覗いている様子もあったりする。Villa Barbaroを見ている頃から雨が激しくなって、傘なしで慌てて白浜さんの車にたどりついた。
土地のレストランでランチ。タダシは豚肉のソテー、私はRaguのタリアテレをとったが、ここの料理はあまり美味しくなかった。白浜さんの配慮でバッサーノ・ディ・グラッパBassano di Grappaを案内してもらうことになった。雷雨が続いたが幸いここに着く頃は晴れ間が見えた。ここはgrappaで有名で、パラーディオの設計と伝えられる木製のユニークな橋がある。グラッパの試食もできた。
6時半頃ヴェネチアに戻り、coopで赤ワインとサラダ、それにサンドイッチを買ってホテルで食べた。
9月16日(金)
10:30チェックアウト。Santa Maria Gloriosa dei Frariに行って、ティツィアーノの被昇天のマリア像を見学。前回見たときは感動したのだが、今回はメガネを忘れ、暗いのでいまいちだった。ベリーニの聖母子も見たがちょっと取り澄ましてあまり暖かみがない。
雨がひどくなってきたので、カフェでピザを食べながら休み、荷物をピックアップしてそのままVenezia S/L 駅へ。電車のなかではあがってきたのだが、着いたらまた降り出して土砂降りのなかを20分歩いてPiccolo Residence Apartment Hotelへ。ホテルの日本人女性オーナー(かとうさきこさん)がいろいろ説明してくれて心強かった。彼女のお勧めで近くのEatalyの奥のレストランで食事。帰りにワイン等を買って戻った。
9月17日(土)
どうやらホテルの予約が一日ずれていたらしい。私のミスかしら?
朝食後ランドリーへ。
それから加藤さんが来てツアーの相談。チンクエテッレとワイナリーのツアーをたのむ。加藤さんはご主人のオーストラリア人とオリーブ園も経営しているそうで、たいへん話し好きの面白い人である。
ポンテベッキオとドゥオモを見学。やっぱりドゥオモはすごいよねえ、いったい皆なここで何をやってたんだろう…敬虔な祈りももちろんあっただろうが、ムッとするほどの野望と権力が渦巻いて……などとしょうもない感想。
帰ると加藤さんが待っていてツアーの予約が完了した旨聞いた。
夕食はZaZaで、マグロのタルタル、アーティチョークのフライ、アスパラガスのリゾット、すべておいしかった。
9月18日(日)
サンマルコに行くも閉館。リッカルディ宮殿(博物館)は入れたが中から行くラウレンティーナ図書館は今日は休館ということで、ややこしいことこのうえない。
夕食は適当に歩いて、流行っていそうな店を探してぶらりと入る。後でGiannino in San Lorenzoというなかなか評価の高い店であると判明。以下のコースを二人でシェアした。
アンティパストに生ハムとリコッタチーズ、primoはポルチーニのリゾット、secondoは何か忘れたが美味しかった。
9月19日(日)
今日はチンクェテッレ5.Terreへのツアー。朝7時に駅の薬局前に集合。カードで料金の支払いを済ませてバスに乗り込む。2,3時間バスに揺られて、起点であるLa Spezia の街からさらにManarolaへ。そこから鉄道でVernezzaへ着いて、今度は船でMonterossaへ。そこでツアー込みのランチ。この地方独特の形のパスタも魚のグリルもおいしかった。
その後日本人ガイドさんとレモンチーノLemoncino試飲。レモンチェロLimoncelloよりすこしあっさりしているようだが違いはよくわからない。
5.Terreはたしかに素晴らしい景観だが、とにかくツーリストが多く、年間200万も訪れるそうだから、駅や船着き場はラッシュアワー並みの大混雑。大型バス満杯のツアー客を一人のガイドがさばくのだから何につけても移動に時間がかかり、あまり風景をゆっくり鑑賞する余裕がない。遅刻者が出るとガイドが連呼して探すので、その人はすっかり有名人になってしまう。シューバンという名前は一生忘れられないだろう。
帰路のバスで不思議な形の雲を見た。
戻って市場2Fのフードコートで食事。パスタとワンプレートランチをたのんだ。味は悪くないが25Eはセルフでなくても高すぎる。何かの間違いだったのかしら。持ち帰りのピザを買って部屋で食べなおした。
9月20日(火曜日)
今日はUffiziの見学予約日。予約をしたのにコンピュータが壊れたとかで2時間近く待たされた。日本語オーディオガイドを借りて比較的丁寧に見たが、それでも3階中心。疲れた。美術館を出て、はるこお勧めのセルフサービスの食事処La Prosciuteria に行った。若い人いつもいっぱいのよう。運よく座席に座れ、二人分のワンプレート・ランチは量が多かったがけっこうペロリと食べられた。
帰りにシニョーリア広場にまた寄って、サヴォナローラが処刑された場所を示す丸いプレートを発見。また『春の戴冠』が読みたい。
夕食は昨日ののこりのピザとEatalyで買ったパニーニのサンドイッチで軽めに。
9月21日(水)
今日は一日フリーデイ。風邪気味だがただホテルにいるのも悔しいので、シエナにゆくことにした。9時40分にバスに乗ったが予想外に時間がかかり、着いたのは11時過ぎ。
カンポ広場に行く途中の店で土地の料理Ribollita(パンのスープ)とプロセッコでランチした。これ一皿でお腹がいっぱいに。
カンポ広場を横断して市民美術館へ。マルティーニの『荘厳の聖母』が印象的だった。『善き政府の効果』と『悪しき政府の効果』も面白い。それからドゥオモに入ろうと思ったら無料でなくて7Eで、しかもさらに上の方のチケット売り場で買うというので(共通券は15E)諦めて、2階からカンポ広場が見えるカフェでジェラートを食べた。
フィレンツェに帰って夜はEatalyで食べることにして2Fと地下のレストランの案内を見ていたら、2階のレストランのシェフという人が来ていろいろ説明する。それでなんとなく誘導されて2Fへ。白を基調にしたモダンな内装とゆったりした(しすぎ)スペースにびっくり。天井には題材はともかくスタイルはルネサンス風のフレスコ画まである。
食事は魚のガスパチョとラビオリ、そして白身魚のソテー。上品な味で塩っぱくなく美味しいが、量は少しで気取った日本のレストランみたい。なんとなく、路上にテーブルを出してワイワイガヤガヤやるトラットリアのほうが懐かしい気がした。
9月22日(木)
予約していたワイナリーツアー。8:30に駅の薬局前集合。まずはモンタルチーノMontalcinoで要塞からVale d’Orciaの素晴らしい景観を楽しむフリータイム一時間。それから地元の古いワイナリーで84歳のマリオという当主のおじいさんが、説明しながら3種のワインを手ずから注いでくれてテイスティング。周りのカナダ人やアルゼンチンの人たちとお話していたが、すぐ隣に座っている女性が日本人と分かって驚いた。碓井さんといって、一か月もヨーロッパ一人旅を続けているという。30年前の自分と重なる。体調が悪く精神的にも参っているようで気の毒だった。
午後はペッコリーノチーズで有名なピツェンツアを経てモンテプルチャーノMontepulcianoを訪れる。途中映画『グラディエーター』(ラッセル・クロウ主演)の主人公の屋敷のロケ地になったという場所をフェンス越しながら見ることができた。なるほど素晴らしい景観だ。Montepulcianoのワイナリーはマリオのようなキャラクターは居なかったが、やはり非常に古そうなワイナリーで穴倉のような深い地下のセラーには大小の樽がぎっしり。試飲は今回も3種類だが混んでいたので2種類だけにしておいた。
夜はまたZaZaへ。アーティチョークのサラダ、トマト味のペペロンチーノのスパゲッティ、ソーセージと豆の煮込み。美味しかったが、ソーセージは店によってそう味が変わるものでもないので、別のものにすればよかった。
9月23日(金)
近所のカフェで朝食をとっていったん戻ってから、フラ・アンジェリコで有名なサンマルコ修道院へ。小さな僧房が並んでキリストの生涯を描いたフレスコ画がどこにも描かれていた。回廊の先端にサヴォナローラの部屋があって、ここにはいくらかの遺品とシニョーリア広場での処刑の様子を描いた絵があった。
続いて、先日San Lorenzoを見たときには入れなかったメディチ家礼拝堂へ。いろいろのお寺を見てきた目にも、この豪華さと細密さは驚きだ。また骨を入れた厨子のようなものがたくさんあって、遺骨を尊崇するにもいろいろなやり方があるものだと思う。ロレンツォとジュリアーノの彫像も見事。一つの寺院だけに8Eというのは高いがその価値はあった。
帰りのBirreririaを見つけてビール、ついでにピザを食べたら2人で一個でお腹がいっぱい。
午後は戻って少し昼寝してからサンスピリト教会へ。ここはサンマルコ修道院で会ったご夫妻に勧められてきた。外側は地味だが内部は柱廊をめぐらして数知れぬプライベートチャペルを擁するユニークな造り。ここの目玉は8角の聖具室にあるミケランジェロ木彫の十字架像。この教会は入場無料であまり観光化しない方針らしく、開館時間も限られているし、写真は不可。見物には不便だがその分本来の教会のあり方のようなものが感じられて、それがミケランジェロの素朴だが精神性の高い十字架像とよくマッチしている気がして、久しぶりに?琴線に触れた。
ホテルに戻ったが全然お腹が空かないので、残りのチーズ、ワイン、果物で食事を済ませた。
9月24日(土)
市場のマーケットでお土産のチョコレートを買った後でタイル屋さんで表札のタイルを買う。
Barで簡単なランチ。
午後加藤さんが来て会計を済ます。試供品のオリーブ油をいただいた。
パッキングを済ませて、夕食は「最後の晩餐」なのではるこお勧めのステーキ・レストラン Antica Trattoria “da Tito” へ。予約なしだが開店早々に行ったので入れた。
アンティパストはまたムール貝、プリモはキノコのリゾット、そしてセコンドは仔牛のステーキ。なんとか完食した。
9月26日(日)
宿までタクシーを呼んでもらうはずだったが、当日市民マラソン大会で宿の前の道路がコースになっているということで、結局駅まで歩いていった。来たときに比べて天気もいいし地上だけだから何の困難もなかった。