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文学・評論

The Eagle of the Ninth Trilogy

The Eagle of the Ninth / Silver Branch / The Lantern Bearers

Rosemary Sutcliff Oxford University Press 1959

読書会でSutcliffの短篇を読んだのをきっかけにローマ・ブリテン三部作を読了。
無類の面白さ! 戦闘場面はまさに著者がその場に居て、しかも戦闘に加わっていたとしか思えない。塩野七生さんのローマ戦史も面白いが、どちらかというと説明口調でそれほど臨場感はない。それに比べたら、こちらは手に汗握るという以上である。

なにしろ、ローマ帝政時代から、衰退するローマがブリタニアを去るあたりの時代だから、私たちにはほとんどの馴染みのない世界だが、それは楽しむのにまったく妨げにならない。自然描写も戦闘場面と同じぐらい生き生きしているし、主人公たちの描き方も暖かく、通り一遍でない心理描写もある。こんなexcitingな歴史小説を持っているイギリスの子どもたちは幸せである。

知らない人だったら、書き手はたぶんまだ若い男性作家と想像するだろうが、これが女性で、しかも脚の病気のため生涯のほとんどを車椅子で過ごした人だというのだからびっくり。人間の想像力というものは際限がないのだと感心してしまう。

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