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ノンフィクション

Human Errors

――A Panorama of Our Glitches, From Pointless Bones to Broken Genes

Nathan H.Lents  Weidenfield & Nicolson eBook version  2018

他の生き物と違って何故人間は鼻風邪をひきやすいのか、犬も猫もライオンもほぼ同種の食べ物を食べていきているのに、人間だけはどうして、肉、魚、野菜などと多種の食物をバランスよく食べないと健康に問題が生じるのか、手に負えない難病が人類に多いのは何故なのか……
考えてみれば不思議なことばかりだが、要するに進化は盲目だということだ。神があらかじめ完ぺきな設計図に基づいて人間を創造したのなら、こんなことにはならなかったはずだ。
進化の過程で不都合が起こるとその都度それを修正して、人類は今のような形になったわけだが、その修正は往々にしてゆきあたりばったりで近視眼的なものだった。だからしばしば他の器官や機能との不整合が起こったし、生命維持という最終目的にさえ反するような過程もあった。

ということで、なるほどなるほどと面白く読んだ。これほどまで不完全で欠陥だらけながら必死に命をつないできた人類、というのがなんだか愛おしくもなる。しかし、少なくとも最近までは進化は自然任せだったが、どうもそれが変わってきているらしい。人間が自身の遺伝的形質に手を加えられるようになったのだから。人間による意図的な自然の操作は、結局のところ地球と自然に修復不可能なダメージを与え、今も与え続けている。だから人間自身に加える操作も恐ろしい結果を招くのではないか。しかしこれも盲目の進化のなせるわざ、無意識無目的の自然による反撃なのだろうか。

 

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