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「小児性愛という病―それは愛ではない

斉藤賞佳  ブックマン社   2019.11.20

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問題のある性行動のなかでもダントツに問題である小児性愛、これはどういう心理現象なのか、多少野次馬的興味もあって読んでみた。
改めてその実態と困難を知って愕然とする。

著者自らアンダーライン下ところを転記。

はじめに
子どもに与えられたものは、”愛”ではなく、暴力です。2
彼らの問題行動の背景には、精神疾患があります。3
いまの日本社会が「ペドフィリア」を産みだし続けている 6

第1章 純愛幻想と飼育欲―その身勝手な論理
性加害をする者なら誰もが持っている、特有の思考の歪み 14
自分が起こした問題行動の原因が、ほかならぬ被害者にある 21
支配―被支配の関係こそ彼らの求めるもの 38

第2章 問題行動―病と気づくまで
これはケアでも支援でもなく治療教育です 46
小児性犯罪は再犯率が高い 51
出所後、社会の中で孤立していきます 51
子どものころ「機能不全家族」で育った者が目立ちます 54
病気というからには「治療によって行動変容ができる」と私たちは考えていますj 57
性的嗜好は縛れないし、罰することもできない、だからといってそのままにしていいものではないです 63
依存する対象が何であれ、その人のなかに条件反射の回路ができあがっているため、やめたくてもやめられないのです 70

第3章 逆境体験―依存症から抜け出すために
たとえ先天的なものであっても、小児性愛障害者には、「加害行為をしない」という責任があるのです 83
依存症には「死なないために依存する」サバイバルスキルとしての側面がある

第4章 児童ポルノ―加害の引き金になるもの
欧州諸国で流通している児童ポルノの約8割が日本製 108
児童ポルノと実際の加害行為の結びつきは圧倒的に強い 115
「現実とファンタジーの区別はついている。児童ポルノを見ても、実際の子どもに手をかけるなんてことはない」というのは、典型的な認知の歪みのひとつです 118
これから被害者を出すかもしれない非実在の子どもを描いた児童ポルノにも厳しい視線がむけられるべき 129

第5章 犯行現場―加害者はすぐそばに
子どもへの性加害をする者たちの特徴として、職業を通して行動化する 134
性暴力とは、権力関係を利用して行われるものがほとんどです 135
嗜癖行動は亢進(エスカレート)するものです 156

第6章 再犯防止―期待される有効な治療とは?
小児わいせつ型は性犯罪再犯…の割合がほかと比べて高い 166
「子どもに性加害をした者は、社会からの治療的アプローチが何もなければ再び子どもに加害する」と多くの人が思っている 188
”再犯しない自分”へと変容するには薬で欲求を抑えるだけでなく、物事の考え方や捉え方、周囲との人間関係、生活習慣など総合的にアプローチしていく必要があります 191

第7章 回復責任―”やめ続ける”ために
被害者が加害者を許さなければならない謂れは、まったくありません 206
加害者のなかに被害者は存在しません。被害者の存在はあざやかなまでに抜け落ちています 207
「変わりたい」という気持ちを強化することで、対象者みずからの「もう性加害したくない」という内なる動機に気づかせる 211
リスクマネジメントを反復せよ! 215
内面の変化が見られるまでには、早くて3年、通常は5年以上かかるとみています 235

第8章 支配感情―救われたい男たち
男性が優位でなければならないとする社会が認知の歪みを強化し、性暴力を助長している 246
日本は女性にかわいさと未熟さを求める社会 258
誰もが自分より小さな者、弱い者を尊ぶことが第一歩 260

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