都甲幸治 立東社 2020.07.10 世田谷図書館所蔵
学生っぽい軽妙な語り口。でも内容はけっこう濃い。ここで扱われている本は読んだことはないほうが多いが、読んでみたいと思わせる力がある。
文芸批評とは、どんなに面白いか、言うに言われぬ言葉にできない作品の魅力を、それでもなんとかして言葉にして、しかもそれを説得力ある言葉にするのが仕事、というのがわが師竹田青嗣の持論。本書のレビューのどれもが成功しているとは言えないが、それでもそうした批評の営みが感じられる本ではあった。著者になじみのある「街」から語り起こしているのが、成功の秘訣かもしれない。、
もちろん必ずしも納得できない理解がある。たとえば漱石と鴎外。しかしそれはそれでいいのだと思う。こういう観点もあったかと気づかされるという点で。